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古書買取に思う Y君の話(4)
・神田神保町の古書店の提案を受ける
出張買取をうたいながら実際にはいろいろな条件をつけてなかなか実行にいたらない古書店が目立つ中で、即座に快諾したところがあった。それは東京神田の神保町の大川書房という古書店である。Y君が電話をかけて蔵書整理の話をもちかけると、中田さんと名乗る店長がたちまち日程を提案した。6月6日に出かけて段ボール箱の中味を見ておおよその見当をつけ、11日に再度訪ねて買取を実行するという段取りでいいですかという明快な提案を受けて、Y君は一も二もなく同意した。神保町から信州の山奥まで相当の距離があるけれども大丈夫ですかと問うY君に対し、中田店長は、別にたいしたことはありません、もうかる話ならどこにでも行きます、この間は長崎まで行きました、まあ遊び半分でしたけどと、どこまでもかろやかに応じるのであった。
もとよりY君は蔵書のすべてを売り払うつもりではない。Y君には若いころからの学問上の課題があり、つい最近になって集大成というか、到達点と見られる大きな著作が完成した。ざっと40年、否、数えようによっては50年になろうとする思索が結実し、果実を摘むことができたのである。ことここにいたって来し方を顧みると、むだなこと、無意味なことは実に多かった。あれを思い、これを思いながら日々をすごしているうちに、著作の刊行を機にいったん初心に帰り、若い日に立ち返ったつもりになって、いわば零(ぜろ)から再出発したいというほどの心境になった。そうかといっていっさいを古書店にゆだねようというのではない。少数ではあるが、別れがたい書物というのはたしかにあり、それらは有機的に連繋して新たな出発のための堅固な足場を作っている。そこでY君は段ボールの箱から本を取り出して取捨選択の作業を始めた。6日まで、あるいはまた11日までにすべての本を点検し、買い取ってもらう本と温存するべき本を仕分けしようというのであった。









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古書買取に思う Y君の話(3)
・買取業者のあれこれ
古書を収集して値段をつけて販売するのが古書店の商売である。ではどこから集めてくるのかといえば、もっとも有力な出どころは個人の蔵書である。W先生やY君のように本を長年にわたって本を買い続けている人はたしかにいて、そんな人たちの蔵書があるとき一挙に放出されるのである。W先生の場合には蔵書の持ち主がいなくなったために親族の手にゆだねられ、二束三文で売り払われてしまった。処分を担当することになった人にはY先生の本に対して格別の思い入れがあるわけではなく、かえって紙屑も同然である。一切合切持ち出してもらって手間が省けたうえに3万円になるのであれば文句のつけようがなく、大成功である。古本屋の側からみればさながら宝の山のようであり、ただ同然でもらい受けたうえで自由に査定して、定価をつけて店頭に並べるのであるからこちらも大満足である。だれからも顧みられることなく消え失せたのは、蔵書に寄せるW先生の心情である。
このような事情はY君も先刻承知していたところである。だが、Y君の蔵書はY君の亡きあとにだれかが処分するというのではなく、あくまでもY君が自発的に世の中に放出しようとしたのである。本の値打ちもわかっているし、古書店側と話し合って双方の納得のいく値段をつけていくという作業になるはずであった。
インターネットで検索すると実にさまざまな買取業者が広告を出していた。買取業者というのはつまり古書店のことで、商品の仕入れ先を発掘しようとしているのである。遠方の場合には送本用の段ボールを送るというサービスを提供する業者もある。それを組立てて箱を作り、処分したい本を詰め込んで宅急便で送るだけで、しばらくして買取価格が伝えられ、納得すれば振込が行われるという手順である。だが、これでは実体はゴミ出しと同じことであり、Y君は嫌悪して当初からまったく考慮しなかった。クチコミを見ると、段ボール二箱にぎっしり本を詰め込んで送ったら査定額100円などという報告があった。
このような業者は問題外として、相当に遠方であっても出張することをうたう古書店があり、ホームページで品揃えを眺めると印象もよかった。そんな古書店を二三選定して連絡をとると、ひと通り話を聞いたうえで、どのようなものをもっているのかと聞いてきた。かんたんな目録か、あるいはまた写真を撮って送ってほしい。それを見てどのくらいのものを買い取れるか、おおよその見当をつけて、そのうえで出張の可否を決めたいという。無駄足を踏みたくないのである。もっともな言い分ではあるが、気軽に声をかけてくれればどこにでもでかけるという看板に偽りがあるように思われて感じが悪く、目録作成も写真撮影もY君は実行しなかった。
古書買取に思う Y君の話(2)
・蔵書処分の実例の回想
本を処分するというのは実際にはどうしたらよいのであろうか。まずはじめにY君を悩ませたのはこの問題であった。本を集めるのがうれしくてひたすら購入を続けてきたのであり、処分などいうことは念頭をかすめたこともなく、実体験がなかったのである。インターネットで「古書買取」「出張買取」などという言葉で検索すると実に多くの情報がたちどころに出現する。古書店が買い取るというのである。高額買取をうたい、相当に遠方でも無料で出張すると明快に宣言するところばかりであり、買取の実績が写真されていたりする。中には本の内容にはまったく関心を払わずに、本の状態のみで判断して極端な低価格で買い取る業者もある。あらゆる本を買い取ってくれるのは良い点のようにも思えるが、さすがにそのような業者は避けたかった。Y君は所蔵本の値打ちに確信があるのである。
蔵書の処分ということで思い出されるのはW先生の事例である。W先生は四国の大学で近代文学を講じてきた方で、Y君とは専攻分野こそ違うけれども学問上の大先輩である。研究生活を続ける中で膨大な量の文献が集ったのは当然として、その道の人にとっては垂涎の的に違いない稀覯書が目立っていた。奥様と二人暮らしで、お子さんはいなかった。ところが大学を定年で辞めてしばらくして奥様に先立たれ、もともとあまり健康とは言えなかったW先生も病気になり、快復にいたらないまま地元在住の教え子たちの世話を受けて介護施設に入居した。数年がすぎて亡くなられたとき、大きな問題になったのはお住まいと蔵書の山の処置であった。
W先生の身寄りといえば、横浜に奥様の姪がいるのみであった。幼いころから青春期までW先生のもとで家族同様に暮らし、一時は養女になることも考慮されていた人である。その姪が急遽かけつけて後始末をした。W先生の住まいは貸家であった。大家さんと話をつけて契約を解除したり、家内のあれこれを処分したり、短い滞在中にあわただしく作業が進行する中で、蔵書については古書店に声をかけて足を運んでもらった。処分いっさいをおまかせして、室内をからにするように依頼したのである。古書店の店主は雇い員とともにやってきてこれを遂行し、数千冊の書籍の代金として3万円を置いていった。この金額ではW先生愛蔵の貴重書の1冊といえども購入することはできないであろう。それに、書籍のほかにも、W先生が深い関心を寄せていた文学者たちの自筆原稿や数百通にのぼる往復書簡の実物などもあったのである。
古書買取に思う Y君の話
・Y君の訪問を受ける
先日、久方ぶりに古い友人のY君の訪問を受け、近況をうかがう機会があった。Y君は高校時代の同級生で数学者である。長らく東北地方の大学で研究と教育に打ち込んですごし、数年前に定年を迎えて退職した。そのおり、研究室に蓄積された書籍を郷里の信州の山村の生家に運ぶことになってやや大きめの段ボールの箱に詰めたところ、略略200箱ほどになったという。高校生のころからこのかたの長期に及ぶ収集の営為のなせる業である。住む人のない広大な生家の土間に積み上げられるとともに、どの部屋も足の踏み場もない状態になった。ときおり帰省してあれこれの段ボールを開けると思いもかけない発見があり、楽しかった。
こんなふうに数年をすごしたが、最近心境に変化が現れて、この書籍の山を思い切って一掃したいと望むようになった。本の収集を始めた高校生のころに立ち返り、今から新たに出発したいというほどの心情に傾いたというのである。これに加えて、これだけの書籍をまとめて処分すればある程度のまとまった金額が手に入るに違いなく、新たな出発の原資になるであろうという思惑もあったのである。ところがいよいよこの処分計画を実行に移したところ、実に意外な状況に直面し、ごくわずかな現金を手にしたとはいうものの、大事にしていた本の数々がただ単に失われただけのことであった。こんなにがっかりしたことはない、友人のよしみでぜひ愚痴を聞いてもらいたいというのが、このたびのやや唐突な訪問の主旨であった。